渡辺誠の著書解説
刀と真剣勝負 [ 渡辺誠 ](ワニ文庫・KKベストセラーズ)
日本刀の奥深い世界に親しむための入門書。本書は、日本刀の強さが先人のいかなる知恵から創造されたのか、その製作に用いる原料の秘密にまで立ち入るとともに、歴史にその実用性がどのように現れたかについて検証した書である。
試し斬り、居合といった、現代でも真剣をつかう武道のこと、また、武士と刀との関わりのこと、さらには「剣豪」の愛刀のことなど、内容は多岐にわたる。日本刀の書は多いが、本書は刀と武道、武士道との境界領域に焦点をあてた稀有の書といえる。
あなたの知らない「細川家」の歴史(洋泉社)
細川家は、さまざまな意味で「奇跡の一族」といえる。鎌倉時代から連綿と七百年の歴史を刻み、近世の大名家直系の子孫で、現代において首相を唯一輩出した家でもある。日本の歴史のなかで、つねに政権中枢にかかわってきた稀なる一族でもある。さらに、政治だけではなく、和歌、茶道といった日本の伝統芸能にもかかわりをもち、「文武両道」の家風を一貫して持ち続けてきた。
歴史のなかで有用な役割をになった同家の現当主・細川護煕氏(元首相)は、現在、脱原発を提唱しつつ時代の新しい潮目を読み解きつつある。
日本剣豪秘史(洋泉社)
剣豪たちは、いかにして日本史上に出現したのか!?
日本刀を用いた剣豪たちの「実戦剣術」は術から芸、そして道となり、人格の修養を旨 とする奥深い日本文化へと昇華していった。本書は、自らの命を一剣に託した「剣豪」たちの出現と歴史の深層、その「剣」と、等身大の人間像を、豊富な取材から得た秘話とともに描いたノンフィクションである。
[新訳]鉄舟随感録「剣禅一如」の精髄を極める(PHP研究所)
明治維新の立役者の一人が、江戸城に対する新政府軍による総攻撃を回避すべく、一命を賭して行動し、「無血開城」という歴史的成果をもたらした山岡鉄舟である。本書では、その鉄舟が若き日から自己を啓発するために綴った文章、口述を収録した労著の現代語訳と解説を「原文」と併せて紹介する。 激動の時代を生きた最後のサムライ・鉄舟が、何を悩み、考え、自分を自ら叱咤激励したかを知ることは、日本人の「心」、とりわけ「負けじ魂」をみつめ直すことにつながる。現代企業の組織人はもちろん、教育関係者、文化・スポーツ関係者の羅針盤になるはずである。
真説・柳生一族―新陰流兵法と柳生三代の実像(洋泉社)
「柳生一族」といえば、深編笠をかぶった隻眼の十兵衛が、幕府隠密として日本全国に出没する姿と、『子連れ狼』に登場する恐るべき闇の集団「裏柳生」の頭目、柳生烈堂が思い浮かぶ。いずれも陰謀の臭い漂う一族の姿である。しかし、石舟斎によって柳生家に伝えられた新陰流の剣理は、禅の教えを基礎とし、宗矩の代には高僧・沢庵の説法にもとづき「剣禅一如」の道を歩みはじめた。そして十兵衛こそは、戦国の殺人術を泰平の世に相応しい剣の道へと進化させた求道者であった。本書では、後世の創作者たちが伝説化した「兵法者」「剣豪」一族の史実に迫る。
〈新訳〉兵法家伝書―強いリーダーの条件とは何か(PHP研究所)
江戸幕府初期の将軍家兵法師範にして、参謀的な官僚(大目付)の地位にあった柳生宗矩が、当時の先駆的な剣の道、新陰流の剣理を大成した書。江戸時代、天下泰平の世を迎えたとはいえ、幕藩体制の基礎が固まっていたとはいえない家光の時代に、「力の政治」を断行するためには強い先導力と決断力がリーダーに求められた。本書は、宗矩の兵法の教え子だった三代将軍・家光に、幕府要路という立場から、兵法の理を通して、強いリーダーシップを培うための「経世」の書として呈上したものでもあった。 混迷を深める今日に、指導者の心の錬磨のうえで、示唆に富む一冊といえる。
心を磨く五輪書―宮本武蔵35の人生訓(二玄社)
宮本武蔵の兵法書『五輪書』から、
現代人に資する35のキーワードを精選し、やさしく、わかりやすく解説。
気鋭の書家による揮毫を添えた。
渡辺 誠 (文), 吉澤 大淳 (書)
江の一生―戦国美女浅井三姉妹(マーブルブックス)
2011年のNHKドラマのヒロインとなる「江の一生」を、歴史ライトユーザー向けに小説風ドキュメントで分かりやすく展開。 織田信長を伯父に持ち、戦国一の美女・お市を母に持つ浅井三姉妹。“男たちの欲”に翻弄され続けながらも、三度目の結婚で日本最高の幸せを掴んだ浅井三姉妹の末娘・お江の物語。 「詳細地図」+「詳細人間関係図」+「わかりやすい“お江の年譜”」掲載。
〈新訳〉五輪書(PHP研究所刊・新書)
生涯不敗の宮本武蔵が著した兵法書。「地」「水」「火」「風」「空」の5巻からなり、武蔵自らの修業の集大成として、書き上げたといわれている。その内容は、生きるために自分の弱さに克ち、他者に勝ち、組織を存続させるために勝つ方法を解くなど、「勝つため」の兵法の知恵から始まる。本書では、原文に現代語訳をつけ、さらに武蔵の考えを、仕事、人生において、現代でどう活用するか解説を加えた。350年以上前に書かれた、兵法の書が、現代のビジネスに活かされる。
〈抄訳〉葉隠(PHP研究所刊・新書)
『葉隠』といえば、「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」ということばが、よく知られている。このために、この書は現代人にとっては、あまりに苛烈な印象を受ける。しかし、実際には江戸時代、泰平の世の中において侍とはどうあるべきかを説いた人生読本でもあった。そこには、「役についたときの心積もり」や「仕事への懸命さを持続せよ」「人間好きに良い人材は集まる」「カネよりもヒトの経営に大切なこと」「危機管理の極意は『早起き』にあり」など、仕事へ向かう姿勢や上司としての心構えが数多く示されている。武士道を理解することはもちろん、現代社会での生き方・考え方が学べる一冊。
直江兼続と上杉鷹山(学研M文庫―知の法則シリーズ)
戦国から江戸にあまたの難局を乗り切った名門上杉家。
義を組織の中枢にすえ、北国の厳しい条件での領国経営を乗り切った上杉家のリーダー、直江兼続と上杉鷹山のドラマを描きつつ、危機の時代に発揮するべき才覚と意志を描く。
動の兼続に、静の鷹山―。越えるべき「峠」を前に、あなたはいずれの英傑の道を選ぶか。
刀と真剣勝負―日本刀の虚実(KKベストセラーズ・初版第四刷発行)
日本刀の奥深い世界に親しむための入門書。本書は、日本刀の強さが先人のいかなる知恵から創造されたのか、その製作に用いる原料の秘密にまで立ち入るとともに、歴史にその実用性がどのように現れたかについて検証した書である。
試し斬り、居合といった、現代でも真剣をつかう武道のこと、また、武士と刀との関わりのこと、さらには「剣豪」の愛刀のことなど、内容は多岐にわたる。日本刀の書は多いが、本書は刀と武道、武士道との境界領域に焦点をあてた稀有の書といえる。
禅と武士道―柳生宗矩から山岡鉄舟まで(KKベストセラーズ・初版第三刷発行)
剣の道のスピリッツを、禅と武士道との境界に視座を置いて平明に解説した書。
本書は、宮本武蔵や柳生宗矩などの名だたる「剣豪」、沢庵、白隠などの禅の高僧たちとの道交を紹介し、武士道の根本とされる剣の道と、禅の説く「無(ゼロ)」の思想との一致する世界へといざなう書である。
危機の時代には、剣の極意「捨て身」、禅の「無」こそ、死から生への転換のための近道になる、という意味合いで、タイムリーな書ともいえる。
宮本武蔵剣と人―遺書『独行道』に秘められたその実像(新人物往来社刊)
宮本武蔵の遺書ともいうべき『独行道』を読み解くことによって、この謎多き剣豪の実像に迫る書。武蔵の著書としては、『五輪書』がよく知られているが、その人生観、処世についての考えを知るのには、わずかに『独行道』が遺されているだけである。死の一週間前に、尽きようとする気力をふりしぼって筆を執った、二十一条からなるこの遺文は、一人の兵法者としての理想が語られているが、これを深読みすると、この独創的な剣の道の使途の人間性があぶり出されてくるのである。
幕末剣客秘録―江戸町道場の剣と人(新人物往来社刊)
幕末という時代の「母」なる江戸町道場の剣客群像を、道場ごとに豊富なエピソードとともに活写した書。立場を異にする幾つかの活動家たちがぶつかりあったダイナミックな時代、幕末には、好むと好まざるとにかかわらず、剣の実力が大きく物をいった。坂本龍馬、勝海舟、沖田総司、土方歳三などの剣の力を培養した、江戸町道場の奥深くに踏み込んだ読み物である。
宮本武蔵―真剣勝負師の生きた道(体育とスポーツ出版社刊)
宮本武蔵の生涯を、その時代背景の精緻な考究をもとに生き生きと描いた評伝。小・中・高時代を熊本市の武蔵の居宅跡近くに過ごした著者は、著述業に入ると同時に、所縁あって、武蔵の探究をすることになった。以来三十余年の探訪、調査をいちおう集大成したのが、この書である。同類の書と異なることの一つは、晩年に武蔵が肥後・細川家に客分として仕えたのが、相当早い時期からの宿望だった、という仮説に立っている点である。
図説大江戸さむらい百景(学習研究社刊)
江戸時代の武士の世界を、多角的な視点から解説した時代考証入門書。泰平の世のさむらいは、ほとんど武士道という日本特有の道徳を見失ったが、それだけに現代人には身につまされる人間模様がそこにくりひろげられた。本書は、知られているようで、一歩立ち入るとそのディテールがはっきりしない江戸武士の世界を、仕事・制度・生活・娯楽・おんな・教育・武士道という、七つの視座に立って紹介した書である。百の話にそえられた百の図が役に立つ。
戦国剣豪伝・諸流乱舞―斬撃無双の兵法者28人の軌跡(学習研究社刊)
戦乱の世に、一心に剣の道に生きた者たちがいる。その業は電光石火の如くにして、その力は比類なき剛力とされた。しかし剣理を究め、大悟した彼らは、剣をただ人を斬るのみに使わず、むしろ人を活かし、勝負を制することを是とした。自ら研鑽と工夫を重ね、一流を成し、後世、剣聖あるいは剣豪と呼ばれた男たちの、ひたむきな生きざまを描く。